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金山 英幸*; 旭吉 雅健*; 小川 文男*; 川畑 美絵*; 伊藤 隆基*; 若井 隆純
材料, 68(5), p.421 - 428, 2019/05
本論文では、厚さ0.76mmの薄板試験片を用いた改良9Cr-1Mo鋼のクリープ損傷評価法を検討した。まず、薄板試験片を用いたクリープ試験の妥当性確認のため、未損傷材から作製した未損傷試験片を用いてクリープ破断試験を既報に追加して行い、試験温度873K、応力160MPaの改良9Cr-1Mo鋼のクリープ破断試験では大気中・真空中の試験雰囲気によるクリープ破断時間の差は明瞭がないことを確認した。バルク試験片のクリープ破断時間よりもミニチュア試験片と薄板試験片のクリープ破断時間が1.3倍程度長かった。つぎに、線形損傷則に及ぼす予損傷試験片の加工の影響を検討するため、予損傷材から作製した予損傷試験片を用いて予損傷条件と同条件のクリープ破断試験を行い、クリープ破断時間が係数1.3程度のバラつき範囲に整理されることを確認した。これに加えて、加速条件のクリープ破断試験を未損傷試験片および予損傷試験片に行い、同結果から薄板試験片を用いた加速クリープ破断試験による損傷評価を行った。試験結果は寿命比則で整理すると係数1.3の範囲に整理された。さらに、加速クリープ破断試験、ビッカース硬さよびラス幅に注目した組織観察の各試験結果から、クリープ損傷量の予測を試み、比較した。加速クリープ破断試験の予測結果はビッカース硬さのそれより精度が高く、ラス幅の予測結果は加速クリープ試験とビッカース硬さの間の精度であった。加速クリープ試験およびビッカース硬さによる予測結果を相加平均で組み合わせる評価手法を提案し、少ない試料数で高精度な予測が可能になる可能性が示された。
丹野 敬嗣; 岡 弘; 矢野 康英; 栗下 裕明*
no journal, ,
フェライトマルテンサイト鋼(FMS)が照射や熱時効を受ける場合、破壊靭性は重要な評価項目である。本研究では、照射試験片や溶接材から採取した微小試験片にも適用できるミニチュア試験技術開の開発を目標とする。第1段階として、ミニチュア3点曲げ試験の破壊靭性評価への適用性、および試験片に加工するサイドグルーブの効果を検証した。高速炉用に開発されたPNC-FMSにASTM1820に準じたミニチュア3点曲げJ試験を適用し、ラッパ管厚さに対応する厚さ5mm、幅3mm、長さ22.5mmにミニチュア化した試験片で、き裂進展を制御するサイドグルーブの曲率半径の影響を検証した。その結果、ASTM 1820の標準サイズである曲率半径0.5mmではき裂が蛇行や分岐した。一方、0.05mmとしたものはサイドグルーブに沿ってき裂を進展させることができ、破壊靭性値J=300kJ/mを得た。これにより、ミニチュア化した場合でもサイドグルーブの工夫によりPNC-FMSの破壊靭性を評価できる見込みを得た。
丹野 敬嗣; 矢野 康英; 岡 弘*; 栗下 裕明*
no journal, ,
高速炉燃料集合体のラッパ管用フェライトマルテンサイト鋼(PNC-FMS)の破壊靭性評価を行うため、ミニチュア3点曲げ試験を適用した。今回の試験で、ミニチュア試験片を用いてより確からしく、かつ保守的な破壊靭性値を得るためには、予き裂長さとサイドグルーブの開き角が重要であることが明らかとなった。これらの調整により、ラッパ管の厚さに適用できるミニチュア試験片を用いて、破壊靭性値Jを得た。
丹野 敬嗣; 藤田 江示; 矢野 康英; 栗下 裕明*
no journal, ,
高速炉燃料集合体のラッパ管用フェライトマルテンサイト鋼(PNC-FMS)の破壊靭性評価を行うため、ミニチュア3点曲げ試験を適用した。PNC-FMS板材について、形状の改良を行った試験片を用いて破壊靭性値の異方性を確認することに成功した。また、複数の形状の試験片について、再現性良くデータ取得できることを確認できた。
丹野 敬嗣; 藤田 江示; 静川 裕太
no journal, ,
高速炉燃料集合体ラッパ管用フェライトマルテンサイト鋼(PNC-FMS)の破壊靭性評価用にミニチュア3点曲げ試験技術の開発を進めている。これまでに最適化した試験片形状を炭素鋼S45Cに適用し、手法の汎用性を確認した。1/2CT試験と比較して、ミニチュア試験による評価は大きな破壊靭性値を示す傾向であるが、再現性良くデータ取得できることを確認した。したがって、本手法により、PNC-FMS以外の鋼種についても半定量的に信頼できる破壊靭性試験を実施できると考えられる。
丹野 敬嗣
no journal, ,
原子力材料は、炉の運転中あるいは停止中に要求される性能(強度、形状、密閉性等)が担保されていることが必要であり、照射の影響を評価するための照射後試験が欠かせない。しかしながら、他の産業界での試験と異なり照射後試験には、照射スペースや試料のハンドリングなど様々な制約があり、ミニチュア試験が重要となる。これまでに実施したミニチュア試験の紹介として、被覆管のリング引張試験、イオン照射試験片を用いた不均一変形評価、ミニチュア破壊靭性試験を取り上げる。今後、限られた照射場や機会を最大限生かすためには、各研究機関の強みを生かしたミニチュア試験技術開発を進める必要があり、相互交流を深めて役割分担を図っていくことが必要である。
丹野 敬嗣; 静川 裕太; 藤田 江示
no journal, ,
開発を進めているミニチュア3点曲げ破壊靭性評価技術を用いて、PNC-FMSの熱時効後の破壊靭性評価を実施した。600C、6000hの熱時効を経たPNC-FMSは、シャルピー衝撃特性は劣化していたが、室温での破壊靭性は低下していないことが本試験により示された。また、試験片への疲労予き裂を熱時効の前と後に導入した場合を比較した結果、今回の熱時効条件の場合では有意な差異がないことが分かった。